幼い時から音楽が好きで高校時代は「吹奏楽少女」だった香川は、「音楽教師」になって「吹奏楽指導」をするために国立音楽大学に入学。
高校の吹奏楽部が関東代表として「全国大会」に出場していたので、新作のモデルバンドをすることも多く、「一流音楽家」に触れる機会に恵まれたのが刺激になり、「もっと理解したい」「もっと上手になりたい」「もっと力を伸ばしたい」という気持ちは強かった。
授業だけでは飽き足らず、作曲や指揮、打楽器を習いに行ったり、他大学に行ってみたり・・・。
でも、私の悶々とした気持ちがスッキリすることはなかった。
「どうしたら上手になりますか?」「何を勉強したらよいですか?」の疑問に、応えてくれる人はいなかった・・・。
自信が持てないままに、そして諦めもつかぬままに大学を卒業。
大学を卒業した年に、友人に頼まれて合唱団の伴奏に出かけた。
指揮・指導をしていたのが、私が在学中に国立音楽大学大学院で教えていたセルジョ・ソッシィ氏だった。
名前だけは聞いていたことがあったが、会ったのは初めてだった。
練習が始まると、指揮者の要求が私にはよく理解できなかった。
いや、全くと言っていいほどわからなかった。
「わからない」ということが「わかりたい」という気持ちを生み出した。
大学時代には「わからないのですが」と尋ねると、「考えるから分からないのだ」「能力の問題だ」と言われてきたので、
もうわからないままにしたくなかったのかもしれない。
数回伴奏に通ううちに、ソッシィ氏と話す機会があった。
「コレペティトールというのをしっていますか?
日本ではなぜ無いのでしょう? ヨーロッパではどこの音楽大学でも、歌劇場でも必ず居ます。
歌い手を育てるのには”歌の先生”だけでは無理です。 ”歌の先生”は”声を作る人”です。
”音楽を作る”のはコレペティトールの仕事。
一人の一流歌手は”発声の先生”と”コレペティトール”がいなくては作れません。」
と話してくれた。
なんだか興味がわいた。そして勉強したくなった。
レッスンしてくださることになり、さっそくレッスン開始とになった。
初めの課題は、
だった。
今なら笑えることだが、
など、問題続出!!
自分が優秀だなどと思ったことは無かったけれど、ここまで出来ないとは!!(ショック!!!)
レッスン中にソッシィ氏は「良い例」「悪い例」を弾いてくださって、「どちらが良いかわかるか?」と尋ねるのだが、それすらわからない始末。
・・・というのは、大学まで「こう弾きなさい」と言われたやり方をすると、必ず「違う!」と止められる。
もう私の頭はグルグル空回り。
ソッシィ氏は顔を背けてイタリア語でブツブツ言っていたが、たぶん「全く何にも分かっちゃいない!ひどい!」と言っていたのだろう。
最初は月に2回レッスンに行っていたのだが、どうにもならないので、週1回に変更。
弾き歌いがいつまでも苦手で、怖くて(?)手が鍵盤に届かないような気までしていた。
「正解はこれだな」と思って弾き歌いすると、だいたい玉砕!!!
子供の頃から「厳しい先生」に指導を受けてきた私には、「先生に質問する」など考えつきもしなかったが、高いレッスン代も払っているし、レッスンも週1回にしたし、長い時間練習もしているし、、、、ついに勇気を出して「質問」をしてみた。
「どこがちがうんでしょうか?よくわからないんです!」
勇気を振り絞って質問したのだが、案外あっさりと説明をしてくれた。
(大学までは、先生に質問したら「百年早い!」と怒られた経験があるので)
この音は強め、長めに。その次の音は・・・・。
その理由も理論的にきちんと説明してくれた。
その説明が、凄くわかりやすかった。腑に落ちた!
説明の後にソッシィ氏は
「すべての演奏に対して、説明ができるようでなくてはダメ。
思いつきなんてナンセンス」
と言った。
驚いた!
なぜなら、私はずっと「あなたは考えるからダメなのよ」と言われていたのだから。
考えて良いんだ!! よ~し、その「理屈」をぜひ知りたい!!
もっと知りたくて、もっと習得したくて、レッスンを更に増やした!!
ここからはレッスンも加速!
徹底的に「説明」が付くようになった。
タイプ別の指導の方法も細かく教えてくださった。
たぶん、ソッシィ氏も「香川は何が分かっていて(ほとんど無いけれど)、何がわかっていないか」を知ることになったのだろう。
そして、その多くは「香川限定」では無くて、日本人のほとんどに共通していることだと思う。
音楽は大好き!
でもどうしたらもっと良い演奏が出来るのかわからなかった!
そんな私が変わりました。
だから 私のように迷い、求めている方も変われる!
そのお役にたちたいと思っています。
私自身の経験が 今の私の原動力です!